「自立して」と言われて、胸がざわついたことはありませんか。
仕事をしていないと自立していないのだろうか──。
そう感じてしまう女性は、意外と多いように思います。
確かに、経済的な自立は大切です。
自分で収入を得て、生活を支えられるようになることは、自信や安心にもつながります。
けれど、本当に大切なのは「心の自立」です。
誰かに依存せず、自分の価値を自分で認められること。
それができてはじめて、人は“本当の意味で自由”になれるのだと思います。
自立とは│依存から抜け出せない人たち
私が見てきた中にも、大人になっても“自立”が難しい人がいました。
親や夫、そしてときには子どもにまで頼ってしまう人。
「誰かがなんとかしてくれる」「自分の人生は周りが作ってくれる」
そんな考えに縛られて、自分で行動を起こせない人たちです。
働くのも消極的で、趣味を持つことにも興味がない。
「誰かに養ってほしい」と口にすることも珍しくありません。
でも、それではいつまでたっても、自分の人生を生きている実感が得られないのです。
ある知人の男性(50代)が、再婚を考えて婚活をしていたときのこと。
彼が出会った同世代の女性の多くが、「養ってください」と言ったそうです。
それを聞いた彼は、「生活費を出してほしいわけじゃない。
自立した女性でいてほしいんだ」と話していました。
「いくつになっても夢を持って、何かにチャレンジしていく姿勢がある女性は本当に魅力的だ」と。
その言葉が、今でも心に残っています。
自立とは│働く=自立、ではない
とはいえ、働いているからといって自立できているとは限りません。
以前、同じ職場で働いていた人がこんなことを話していました。
「本当は働きたくないの。でも、夫に“自立しろ”って言われたから仕方なく働いてるの」
彼女はまじめで優しい人でした。
でも、どこか表情に疲れがにじんでいて、“自立”という言葉を、経済的なことだけで捉えているように見えました。
ある日、休憩中に私は思いきって伝えました。
「自立って、働くことだけじゃないと思うよ」
けれど、その言葉は彼女にはピンと来なかったようでした。
たぶん、“働いてお金を得る=自立”という考えが、心のどこかに強く根付いていたのだと思います。
でも私は、その姿を見て感じました。
働いていても、心が依存している人はたくさんいる。
逆に、働いていなくても、自分の意志で選び、自分の人生を大切に生きている人もいる。
自立とは│精神的自立こそが、自分らしく生きる土台
精神的自立とは、自分の人生を自分で選ぶ力 です。
誰かの意見や環境のせいにせず、「私はこうしたい」と自分で決めること。
もちろん、人は一人では生きていけません。
家族や友人、職場の仲間など、支え合う関係があってこそ成り立っています。
けれど、「誰かがどうにかしてくれる」と思いながら生きるのは、自分の舵を他人に預けてしまうこと。
精神的に自立している人は、誰かに頼ることがあっても“依存”はしません。
自分の意思で考え、行動し、うまくいかなくても「これも私の選択だった」と受け止められる。
そんな人は、しなやかに生きています。
自立とは│私自身も気づきを得た瞬間
実は私自身も、「かつては 働かないとダメだ」 と自分を追い込んでいた時期がありました。
「社会とつながっていないと価値がない」「収入がなければ自由がない」
そんな思い込みの中で、働くことを“義務”として受け止めていたのです。
けれど、あるとき気づきました。
本当に心がラクになったのは “どう働くか”よりも“なぜ働くか”を考えたときだった、と。
「私は何のために働くのだろう」
そう問い直してみると、仕事の意味が変わりました。
働くことは義務ではなく、選択。
そして、生き方の表現 でもあるのだと気づいたのです。
自立とは│働けない時期も、自分の価値は変わらない
家事をメインで担う人は、働けるときもあれば、働けないときもあります。
子育て、介護、家庭の事情──人生にはさまざまな時期があります。
「働けない=自立できていない」と思っているのであれば、さまざまな理由で、働けない状況になった人は皆、自立していないということなのでしょうか。
違いますよね。
どんな状況であっても、自分で選択し、自分で決めた生活スタイルを保てていれば、それは立派な自立です。
だけど、「働いていないと自立していない」という基準で捉えていると、それは自分を苦しめかねません。
精神的に自立していれば、どんな状況であっても
「今は働けなくても、私は私のままでいい」
と思えることができるので、必要以上に自分の価値を下げる事にはなりません。
それが本当の意味での自立です。
働くかどうかではなく、どんな気持ちで生きるか。
そこにこそ、自立の本質があります。
自立とは│心の軸を持つということ
精神的自立とは、心の軸を持つこと。
それは、自分の価値観を大切にするということです。
誰かに否定されても、「私はこう思う」と言える強さ。
周りに流されず、「私はこう生きたい」と言える覚悟。
それは決して強がりではなく、自分を大切にするという優しさの形でもあります。
この軸があると、働き方や人間関係も少しずつ変わっていきます。
「嫌われたくないから合わせる」のではなく、「お互いを尊重しながら関わる」関係を築けるようになる。
それが心の自立であり、人を信じるということだと思います。
自立とは│自立とは、働き方ではなく“生き方”
私たちはつい、目に見える形で自立を測ろうとします。
けれど、自立とは「どんな仕事をしているか」よりも、「どんな気持ちで生きているか」で決まるものです。
誰かに認めてもらうためのパフォーマンスではなく、自分自身を認め、自分の人生を自分で選んだ先が “働く”です。
誰かに頼ることを恐れず、でも依存せずに生きる。
そのバランスの中にこそ、“わたしらしい自立”があります。
人は誰でも、誰かに支えられながら生きています。
だから、完璧な自立なんて存在しません。
けれど、自分の気持ちに正直に、自分の人生を自分の責任で生きると決めた瞬間──
それが、本当の意味での「自立」の始まりなのだと思います。
自立の第一歩は、心の軸を整えること。
そして、もう一歩を踏み出したいと感じたら──
「学び」から始めるのもひとつの方法です。
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